遺言書を作成した後、遺言者の財産が大きく変動し、そのまま亡くなってしまった場合、相続人はどのように対処すべきなのでしょうか。

 

財産が大きく変動した場合、相続人の中には得をする人、損をする人が出てくるでしょう。

当事者同士、話し合いを行い、どのように財産を分けるか決めることができればよいのですが、そうでない場合、つまり当事者同士の意見の相違が争いに発展し、解消しない場合には、最終的に訴訟によって解決するほかなくなります。

遺言書の目的の一つは、遺された家族がそのような争いを起こさないようにすることであると考えられますが、訴訟にまで発展すると、その目的に反したものとなってしまいます。

それではどのようにすればよいのでしょうか?

 

どうとでも取れる遺言書は控える

例えば、各相続人に対し、それぞれ相続させる財産を指定し、「その余の財産はAに相続させる」という遺言書があった場合に、遺言書を作成してから亡くなるまでの間に、多額の財産を新たに取得していたらどうでしょうか。

「その余の財産」は遺言書を書いた時点のものか、相続開始時のものか、は解釈の余地があります。

裁判の判決によると、次のように解されています。

遺言書の解釈は、遺言書の文言を形式的に判断するのではなく遺言者の真意を探求すべきであり、遺言書の記載のみならず、その他一切の事情を斟酌して行うべきである。

(最判昭58・3・18判時1075・115)

つまり、上にあげたような例の場合、遺言書作成後に取得した財産をどのようにすべきかは、遺言書の内容だけでは判断できないということになります。

したがって、争いを避けるためには、新たに財産を取得した場合について、誰が財産を相続するのか遺言書に記載しておいた方がいいでしょう。

 

遺言書の書き方の工夫

上のような例の場合は、例えば次のように記載しておけば、解釈の余地はなくなるように思います。

「その余の財産はAに相続させる。その余の財産とは、本遺言書作成時に存在するものに限らず、本遺言書作成後に遺言者が取得したものすべてを含むものとする。」

または、

「本遺言書作成時に存在するその余の財産はAに相続させる。本遺言書作成後に遺言者が取得した財産については、法定相続分に従って、B、C、Dに相続させる。」

 

遺言書作成以降に財産が変動することはよくあることです。

どのように変動する可能性があるか想定し、それに対応できるような遺言書を作成するように心がけましょう。

 

財産が大きく変動したら遺言書を書き換える

遺言書作成後の財産変動に対応するための確実な方法の一つは、遺言書を書き換えることです。

変動の都度書き換えることができれば確実ですが、公正証書の場合は費用が掛かりますし、高齢になってくると遺言書を作成する能力が失われるかもしれません。

そのため、財産の変動に対応した遺言書を最初から作成しておくことが大切になってきます。

 

 

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