この記事では、法務局による自筆遺言書の保管制度について、その内容を解説しています。
自筆証書遺言書の保管制度の概要
自筆証書遺言書の保管制度とは、遺言者が、遺言書保管場所として指定されている法務局に、自筆証書遺言書の保管を申請することで、その法務局に保管されるというものです。
保管は、磁気ディスクにされるとされており、保管される内容は、次のとおりです。
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- 遺言書の画像情報
- 作成年月日
- 遺言者の氏名、生年月日、住所、本籍
- 受遺者の氏名、住所
- 遺言執行者の氏名、住所
- 遺言書の保管を開始した年月日 等
自筆証書遺言書の保管制度が創設された趣旨
以前の問題点として、自筆遺言書は、自宅で保管されることが多く、公的な機関において保管される制度がなかったため、紛失、隠蔽、変造など恐れがありました。
また、自筆遺言書の場合は、遺言者が相続人に秘密で遺言書を作成することも多く、遺言書が発見されないこともあり、発見されたとしてもすでに遺産分割協議が終わった後だった場合、深刻な対立を招くことにもなりかねません。
上記のような問題点を解決するために、保管制度が創設され令和2年7月10日から運用が開始されました。
法務局で保管されるため、紛失、隠蔽、変造等は起こらなくなります。
また、家庭裁判所による検認の手続きも不要になったため、相続人の手続きにおける負担も軽減されることになります。
自筆証書遺言書の保管の申請
自筆遺言書の保管を希望する遺言者は、次のいずれかの場所に自ら出頭して申請書を提出しなければなりません。
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- 遺言者の住所地を管轄する法務局(支局)
- 遺言者の本籍地を管轄する法務局(支局)
- 遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する法務局(支局)
また、遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成したもので、次の事項を記載した申請書とともに提出しなければなりません。
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- 作成年月日
- 遺言者の氏名
- 遺言者の出生年月日
- 遺言者の住所
- 遺言者の本籍
- 受遺者の氏名、住所
- 遺言執行者の氏名、住所
自筆証書遺言書の保管期間
遺言書の保管期間は、遺言者の死亡の日から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間とされています。
遺言者の生死が明らかでない場合は、遺言者の死亡の日に相当する日として遺言者の出生日から120年、相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間は、50年とされています。
保管された遺言書の閲覧方法
遺言者は、保管されている遺言書をいつでも閲覧請求することができます。
その時は、遺言者が自ら遺言書が保管されている法務局(支局)に出頭しなければなりません。
遺言者以外の方は、遺言者が生存中は保管されている遺言書の閲覧を請求することはできません。
遺言書の保管を撤回したいとき
遺言者は、遺言書の保管を撤回したいときはいつでも、撤回書を提出することで行うことができます。
その場合、遺言者は自ら保管場所の法務局に出頭しなければなりません。
これまで自筆遺言書は手軽に作成できる反面、紛失、隠匿、変造の危険があるというデメリットがありましたが、この保管制度によりデメリットはほぼ解消されるのではないかと考えられます。
また、制度上、公正証書遺言書よりも手軽に利用できるため今後普及していくことになるかもしれません。
遺言・相続に関することなら、広島県三原市の行政書士すがはらあきよし事務所までお気軽にお問い合わせください。
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