この記事では、株式会社を設立するときに必要な定款について解説しています。

(記事作成:令和4年3月)

定款とは

定款は、会社の基本的なルールを定めた規則が書かれたもので、株式会社の場合は、公証役場で認証を受けなければなりません。

定款の内容は、会社の基本情報として、「会社の商号」「本店所在地」や、株式総会に関する事項、取締役に関する事項、決算期などが記載されます。

 

定款に記載する事項

定款に記載することは大きく分けて次の3種類があります。

    1. 絶対的記載事項:記載しておかなければ無効になること
    2. 相対的記載事項:決めた場合は記載しなければならないこと
    3. 任意的記載事項:記載するかどうか自由に決めていいこと

1.の絶対的記載事項は必ず記載しなければなりませんが、それ以外の2.3.は、独自に決めて構いません。

それぞれの項目は次のとおりです。

 

絶対的記載事項

株式会社の定款における絶対的記載事項は次のとおり5つあります。

これらの一部でもかけていると、認証を受けることができません。

絶対的記載事項 内容
目的

会社の事業の目的
どのような事業を行うのか記載

商号 会社の名前、名称
本店の所在地 最小行政区画である市区町村までを記載すればよい
住所を番地まですべて記載しても良いが、市内で引っ越した場合など定款を変える必要が生じる
設立に際して出資される財産の価額またはその最低額 資本金となる出資額を記載
発起人の氏名又は名称及び住所 出資者のことを定款では「発起人」と表現する

 

目的

目的を決める際には、3つのポイント「適法性」「営利性」「明確性」に気をつけましょう。

適法性とは、当たり前のことですが、公序良俗に反することを目的にすることはできません。

例えば、詐欺、脅迫、違法なものの販売というようなことです。

 

商号

商号は、好きな名前をつければいいのですが、いくつかのルールがあります

  • 同一住所、同一商号の禁止
  • 必ず「株式会社」を入れる
  • 支店、部署名など会社の一部門を商号に入れることはできない
  • 公序良俗に反する商号は禁止
  • 一定の業種に使用しなければならない文字がある(銀行や保険会社など)
  • 使用できる文字以外禁止
    (漢字、ひらがな、カタカナ、ローマ字(大文字、小文字)、算用数字、一定の符号:「&」「・」「.」「-」「’」「,」)

 

本店の所在地

最小行政区画までの記載でよいので、定款作成時には、具体的な場所が決まっていなくてもいいということになります。

登記をするまでには住所を決めなければなりません。

 

賃貸の場合は、事務所としての使用が認められている必要があります。

また、レンタルオフィスでも会社を設立することはできますが、許認可が必要な事業の場合、レンタルオフィスでは許可が出ない業種もありますので事前に確認しておきましょう。

 

設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

出資額は資本金となるわけですが、現在では、資本金1円でも会社を設立することができます。

しかし、資本金は会社設立後、事業を行うための元手となるので、その初期費用および数か月程度の運転資金を資本金として設定すればいいのではなかと思います。

また、許認可が必要な業種によっては、一定額以上の資本金が必要な場合があるので事前に調べておきましょう。

 

発起人の氏名又は名称及び住所

発起人は1名から可能です。

また、発起人の資格には特に制限はないので、未成年者でも法定代理人の同意があれば可能です。

発起人の仕事は会社の設立であり、次のような事柄です。

  • 会社の概要の決定
  • 定款の作成
  • 資本金の振り込み等の出資
  • その他開業に係る準備

 

相対的記載事項

株式会社の定款における相対的記載事項は次の6つです。

相対的記載事項とは、決めても決めなくてもよいが、決めたら記載しなければならないことです。

相対的記載事項 内容
株式の譲渡制限に関する規定 株式を譲渡する場合に、会社の承認が必要とすることの規定。
中小企業のほとんどがこの規定を設けている。
株主総会などの収集通知を出す期間の短縮 通常、2週間前までに株主総会の収集通知を出さなければならないが、短縮することができる
役員の任期の伸長 取締役の任期は最大2年だが、株式の譲渡制限規定を設けていれば最大10年延長できる
株券発行の定め 原則、株式は発行しないが、発行する場合は記載する
現物出資 現金以外に、不動産や自動車等を出資することで株式を得ることができる
財産引受 白金から事業用の財産を譲り受ける契約をすることができる。

 

任意的記載事項

株式会社の定款における任意的記載事項の例は次のようなものです。

任意的記載事項とは、決めても決めなくてもいいうえに、決めたとしても定款に記載しなくてもよいことです。

とはいえ、決めたことを明確にするために、決めたのであれば記載する方がいいでしょう。

任意的記載事項 内容
事業年度 会社の決算期です
取締役等の役員の数 取締役会を設置しない場合は、1名以上であればよい
取締役会を設置する場合は取締役3名、監査役1名が必要
下限だけ、上限だけでもよく、下限と上限両方決めても良い
株主総会の議長 株主総会の議長を誰がやるか、またどのように選出するかを記載
定期株主総会の招集時期 事業年度終了後、2または3か月以内とすることが多い
基準日 株主総会の議決権を行使できる株主を決めるため基準日を決めておく
基準日時点の株主が権利を行使できる

 

定款の書き方

決まったフォーマットはありませんが、一般的に次のようなことが多いです。

  • 用紙サイズは、A4縦
  • 横書き
  • 文字の大きさは10.5~12ポイント
  • パソコンで作成
  • 表紙をつけるかどうかはどちらでもよい
  • 末尾に発起人全員の実印による押印
  • ホッチキス止めで各ページに契印、または袋とじで表裏両方に契印

 

定款を作成したら、公証役場で認証を受けなければなりません。

紙の定款の場合、4万円の収入印紙および認証手数料5万が必要です。

電子定款場合、収入印紙4万円は不要になります。

 

ネット上には、いろいろな定款の記載例やテンプレートが出回っていると思いますが、ご自身の会社ですから内容に関しては十分熟考していただき、作成していただきたいと思います。

当事務所では、株式会社設立手続きの代行を請け負っております。

定款の作成、認証のお手伝いも行いますので、会社を設立する際には、お気軽にお声掛けください。

 

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