建設業を営み建設工事を請け負うために、必ずしも建設業許可が必要であるわけではありません。

この記事では、どのような建設工事の場合に建設業許可が不要なのか、解説しています。

(記事作成:令和4年4月)

建築業許可が不要な工事としては次の3つが考えられます。

 

    • 建設工事に該当しない工事
    • 500万円未満の軽微な工事
    • メインの工事に付帯した別業種の工事

 

一つづつ順番に見ていきましょう。

 

建設工事に該当しない工事

建設工事に該当しないのだから建設業の許可は必要ないのは当然のことだと思いますが、具体的には次のような工事が考えられます。

 

土地に定着しない工作物に関する工事

土地に定着しない工作物とは例えば、船舶、汽車、飛行機等が当てはまります。

土地に定着しない工作物の建造は建設工事に該当しないため建設業許可は不要です。

また、それらの工作物の内部における配管工事や、塗装工事、内装仕上工事についても同様に建設工事に該当しないため建設業許可は不要です。

 

設備等の保守点検・管理

29種類の建設業のうち、例えば、機械器具の組立て等により工作物を建設し、又は工作物に機械器具を取付ける工事は「機械器具設置工事」ですが、取り付けられた機械器具の保守点検等は、建設工事には含まれません。

設置工事をした建設業者が、その設備の保守点検を下請け業者に委託したり、別の業者に委託した場合、保守点検をする業者に建設業許可は必要ありません。

 

樹木等の管理、造林等

整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事は、29種類の建設業のうち、造園工事業に該当します。

しかしながら、次のような場合は、造園工事業に該当せず、建設業許可は必要ありません。

 

    • 樹木等の冬囲い、せん定、施肥
    • 街路樹の枝払い
    • 苗木の育成販売
    • 樹木の伐採
    • 造林事業

 

道路維持業務

道路等の地盤面をアスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石等により舗装する工事はは、29種類の建設業のうち、舗装工事業に該当します。

しかしながら、次のような出来上がった道路を維持管理することは建設業には該当しません。

 

    • 道路維持管理のための草刈り
    • 除土運搬
    • 除雪
    • 路面清掃
    • 側溝の清掃

 

仮設物等の仮設工事

イベント等における仮設物などを設置する仮設工事は建設工事に該当しません。

同じ工作物を建造する場合でも仮設かそうでないかで異なりますので注意が必要です。

 

自社物件に係る工事

建設業というのは、他社(他者)から建設工事の完成を請け負うものです。

したがって、自社(自者)の物件の建設する工事は、建設業の許可は必要なく、施工することができます。

 

500万円未満の軽微な工事

1件の建設工事の請負代金の金額が500万円未満の場合は、建設業許可がなくとも請け負うことができます。

ただし、建築一式工事の場合は、500万円未満ではなく、1,500万円未満であれば、建設業許可がなくとも請け負うことができます。

また、建築一式工事の場合は、金額だけでなく、延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事も、建設業許可がなくとも請け負うことができます。

 

請負金額500万円という金額の考え方として次のような注意しなければならないことがあります。

 

    • 請負金額には消費税を含みます
    • 注文者が、材料等を支給する場合は、支給材料代を請負金額に含みます
    • 同一の目的物件であるにもかかわらず2つ以上の契約に分割して工事を請け負っている場合は、各契約の金額を合計したものが請負代金になります

 

 

メインの工事に付帯した別業種の工事(付帯工事)

付帯工事とは、建設工事の施工に際して、その工事に付帯する他の建設工事のことで、次のようなものをいいます。

 

    • メインの建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事
    • メインの建設工事を施工するために生じた他の従たる建設工事

 

上記のような付帯工事については、付帯工事の建設業について許可がなく、また、軽微な建設工事でなくとも、メインの建設業の許可を持っていれば、工事を請け負うことができます。

 

少しわかりにくいので例を挙げると次のような場合です。

モルタルの補修工事(左官工事)をメイン工事として請け負ったとき、下地を修理する必要が生じたため、下地修理工事(大工工事に該当)を行ったのち、モルタルの補修工事を行ったという場合です。

この場合、左官工事業の許可を受けていれば、軽微な工事でなくとも(500万円以上でも)大工工事業の許可がなくとも、工事を請け負うことができます。

 

 

以上、建設業許可が必要のない工事を見てきましたが、昨今の風潮として、軽微な工事(500万円未満)であろうが、建設業許可を受けている下請け業者にしか発注しない、という元請業者さんも見受けられます。

主に下請工事を請け負っている事業者様におかれましては、500万円以上の工事を請け負うことはないから、建設業許可は必要ない、と思われるかもしれませんが、建設業許可を取ることで、元請からの受注が増加する可能性があります。

売り上げ増加や事業拡大にもつながると思われますので、建設業許可の取得を考えられてはいかがでしょうか。

 

当事務所では、建設業許可の要件を満たすかどうかの判断から、許可申請手続きの代理、代行など建設業許可取得のお手伝いをしておりますので、お気軽にお声掛けいただければ幸いです。

 

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