(記事作成:令和4年3月)
個人事業主として、一人親方として建設業を営んでいる方が建設業許可を取得する場合について解説します。
今まで許可なしで長い間建設業を営んできたので、許可は必要ないとお考えの場合でも、元請業者から「許可をとならないと発注できない」と言われることが増えてきているようにお見受けします。
近年、コンプライアンス意識の高まりから、その担保のため許可取得を要求するということがあるようです。
建設業の許可を取ることで、元請業者が発注しやすくなり、受注増につながる可能性もあります。
まだ許可をお持ちでない建設業者様は、許可取得を真剣に考えてみてもいいのではないかと思います。
建設業許可取得のメリット
まず建設業の許可を取ることのメリットについて考えてみましょう。
次のようなことが考えられます。
- 元請業者が安心して発注できる(信頼性、信用性が向上する)
- 一般顧客からも信用度が増す
- 500万円以上の工事を請け負うことができる
今後法人化する予定である場合は、法人化の後、建設業許可を取得する方がいいですが、そうでないなら許可を取得することで不利益になることはないように思います。
建設業許可取得の要件
建設業許可取得の要件は、基本的に個人事業でも法人でも変わりはありません。
次のようなものになります。
- 経営業務の管理責任者要件を満たすこと
- 専任技術者要件を満たすこと
- 誠実性要件を満たすこと
- 財産要件を満たすこと
- 欠格要件に当たらないこと
この記事では、1.2.4.について詳しく掘り下げていきます。
経営業務の管理責任者要件について
経営業務の管理責任者には、建設業者において、法人の場合は、その法人の役員、個人事業の場合は、事業主が該当します。
要件としては、この役員や個人事業主として、基本的に5年以上の経験が必要です。
個人事業主として建設業を行う前に、建設業を営む法人で役員の経験がある方は、その期間も含めることができます。
許可を取得する単には、5年以上の経営者としても経験を書類で証明しなければなりません。
ここでつまずく場合が、よくありますので詳しく見ていきましょう。
法人の役員の経験がある場合の必要資料
建設業を営む法人で役員の経験がある場合は、その法人の登記事項証明書が必要です。
その法人が、建設業の許可を持っている場合は、その許可通知書も必要です。
建設業の許可を持つ法人の役員経験がある場合は、上記2つの資料でいいので比較的容易であるといえます。
建設業の許可を持っていない法人の役員だった場合は、建設工事を請け負っていたという証拠となる資料を提出しなければなりません。
次のいずれかの資料が必要です。
- 事業種目に「建設業」の記載のある法人税の確定申告書
- 建設工事であることがわかる契約書又は注文書
- 上記2種類が提出できない場合は、発注者が証明した発注証明書
確定申告書に「建設業」の記載がなく、契約書や注文書が残っていない場合は、ちょっと厄介なことになりますので、注意が必要です。
また、現在は退職している会社に、資料の提出をお願いしないといけないということを心にとめていおく必要があります。
個人事業主の経験の場合の必要資料
次のいずれかが必要です。
- 職業欄に「建設業」の記載のある所得税の確定申告書
- 建設工事であることがわかる契約書または注文書
- 上記2種類がない場合は、発注者が証明した発注証明書
確定申告書に「建設業」の記載があれば、それが一番簡単です。
しかし、記載がないことはよく見受けられます。
あとから修正することはできないので、その場合は、請負工事の契約書または注文書が必要になります。
比較的大きな元請け業者からの受注の場合、契約書や注文書は発行されていると思いますが、そうでない場合も度々あるようです。
特に個人の一般顧客から直接請け負うことがほとんど、という場合は、契約書や注文書がないことが多いかもしれません。
その場合は、発注証明書が必要ですが、最も古いもので5年前の工事を証明してもらわないといけないということでハードルが上がります。
ここでつまずくことが多いです。
専任技術者要件について
専任技術者とは、建設工事の施工に関する言っての資格又は経験を持っている技術者で、営業所ごとに専任である必要があります。
専任技術者の要件としては次のようなものです。
- 一定の国家資格を持っていること
- 実務経験を有していること(最大で10年以上)
実務経験に関しては、建築や土木系の学校の指定学科を卒業していれば、必要年数は少なくなりますが、そうでない場合は、10年以上必要です。
専任技術者要件を満たすこと、中でも実務経験を確認するための必要な資料としては、次のいずれかになります。
- 建設工事の請負契約書または注文書
- 発注者が証明する発注証明書
これらが必要経験年数分必要です。
経営業務の管理責任者の場合と同じようなものです。
契約書や注文書が残っていない場合は、ちょっと厄介です。
上記以外に、指定学科を卒業している場合は、卒業証明書の原本が必要です。
また、国家資格を持っている場合は、その免状等の写しが必要で、窓口で原本の提示を求められます。
国家資格があれば、専任技術者の確認は最も容易です。
逆にそうでない場合は、証明するための資料集めに手間取り、時間がかかる場合があります。
財産要件について
財産要件としては、自己資本500万円以上が必要です。
自己資本というのは、貸借対照表の「純資産合計」に相当する金額と考えていいです。(実際には異なる場合もある)
青色申告で、貸借対照表を毎年作成していれば、すぐにわかりますが、白色申告の場合は、ちょっと大変かもしれません。
どちらにしても純資産合計の金額が500万円に満たない場合は、口座残高が500万円以上であることを金融機関に証明してもらう残高証明書が必要になります。
この残高証明書は、許可申請書を提出する前30日以内(都道府県ごとにルールが異なる場合があります)ある必要があります。
あまり早く取りすぎると無効になるので気をつけましょう。
500万円以上の資金を用意できないと建設業の許可を取ることはできません。
そのために融資を受けるのか、どこから資金を調達するかは今後のために慎重に考える必要があります。
以上、3つの要件について、必要書類等を解説しましたが、実際に要件を満たしていたとしても、それを証明する資料を提出し、それが認められないと許可を受けることはできません。
要件を満たしているかどうか、どのような資料をどのように集めたらいいかなどご不明な点は、お気軽に行政書士すがはらあきよし事務所までお問い合わせください。
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