建設業就労者は、20代以下が約10%と低水準で、高齢化が進行しています。

建設業界の継続的な発展のためには、若い担い手の確保が必須です。

そのためには賃金等の処遇を改善していかなければなりません。

建設業の元請業者と下請業者の関係は、立場の強い元請業者が下請け業者に不利な条件で工事を請け負わさせることが問題となっていました。

これは、立場の弱い下請け業者が労働者への適切な賃金を支払うことができなくなるということにつながります。

低賃金が、若者を建設業界から遠ざけさせ、建設業の継続的な発展を妨げることになると考えられます。

現在では、元請と下請の健全な関係を確保するために様々な法理が規定されており、労働者の給与水準も改善しつつあります。

この記事では、元請と下請の関係において、どのようなことが違法行為に当たるのか、注意すべき点として8つの事例を見ていきましょう。

 

著しく短い工期の下請け契約

下請け工事の工期については次のような場合、違法となる可能性があります。

    • 元請業者が注文者の要求に応じるため、下請け業者に対し、一方的にかなり短い工期で下請け工事の請負契約を締結した。
    • 下請業者が必要な工期を提示していたにもかかわらず、元請業者がそれよりかなり短い工期で下請け工事の請負契約を締結した。
    • 下請業者に何ら責任がないにもかかわらず、工期を変更するときに、変更後の契約が、通常よりかなり短い工期となっている

工期を無理に短くしようとすると必然的に1日の労働時間が長くなります。

しかし、下請け工事の請負金額が労働時間を考慮していないとすると、工期が短いため労働者に支払われる賃金は低くなるかもしれません。

労働者の確保という観点から、なんとしてもこのようなことは是正されなければなりません。

また、長時間労働により、事故の発生のリスクや手抜き工事につながる恐れもあります。

 

指値発注による下請け契約

次の様な指値発注は、法律違反となる恐れがあります。

    • 元請業者が、自らの予算額のみを基準として、下請け業者と協議することなく、一方的に提供したり貸与した安全衛生保護具等に係る費用や下請け代金をの額を決定し、下請け契約を締結した。
    • 下請け業者から提示された見積金額に対して、元請業者が明確な根拠なく、著しく下回る金額を一方的に決定し、下請け契約を締結した。
    • 元請業者が下請け業者に対して、複数の下請け業者から提出された見積金額のうち、最も低い金額を一方的に下請け代金の額として決定し、下請け契約を締結した。
    • 元請業者が、下請け業者から提出された見積書に記載された労務費、法定福利費等の内容を検討することなく、一方的に一律値引きするなど、一定の割合を差し引いた額で下請け契約を締結した。

 

また、次のような行為は法律違反となります。

    • 元請業者都市と請け業者の間で請負代金に関する号機がなされていない段階で、下請け業者に工事を着工させ、施工中又は完了後に、協議することなしに元請業者が請負代金を一方的に決定し、下請け契約を締結した。
    • 下請業者が見積もりを行うために必要な期間を元請業者が設けることなく、元請業者自身の予算額を下請け業者に提示し、下請け契約の締結の判断をその場で行わせ、下請け契約を締結した。

 

上記のような指値発注は、元請業者の強い立場、地位を不当に利用したものと考えられます。

下請け契約の締結にあたり、契約金額は、元請、下請け間で十分協議をしたうえで、金額の根拠を明確にして、決定しなければない®ません。

 

不当な使用資材等の購入を強制させること

次のような行為は違法となる恐れがあります。

    • 下請け契約締結後に、元請業者が下請け業者に使用する資材や機械器具等を指定したり、その購入再帰を指定し、その結果、下請け業者が予定していた購入価格より高い価格で資材等を購入することになった。
    • 下請け契約の締結後に、元請業者が指定した資材等を購入させたことにより、下請け業者がすでに購入していいた資材等を返却させざるを得なくなり、金銭面、信用面における損害を受け、取引先との関係が悪化した。

上記のとおり、違法となる恐れのある「不当な使用資材等の購入を強制」とは、下請け契約の締結後に行われる億位に限られます。

下請け契約において、使用する資材等を指定することは当然のことながら合法です。

 

不当に低い請負代金

次のような場合は、「不当に低い請負代金」として違法となる恐れがあります。

    • 元請業者が、自身の予算額のみから、下請け業者と協議することなく、下請け業者の見積金額を大幅に下回る金額で下請け契約を締結した。
    • 下請業者が、元請業者の提示した条件を受け入れない場合、今後の取引において不利な取り扱いをすることを示唆して、下請け業者との従来の取引価格を大幅に下回る額で、下請け契約を締結した。
    • 元請業者が、下請け代金の増額要求に応じることなく、下請け業者に対し、追加工事を施工させた。
    • 元請業者が契約締結後に一方的に代金を減額した。
    • 元請業者が、端数処理と称して、一方的に減額して下請け契約を締結した。
    • 下請業者の見積もりに明示されている法定福利費を無視した金額で下請け契約を締結した。
    • 元請業者が下請け業者に対し、契約単価を合意なしに一方的に提示し、これにより積算した額で下請け契約を提示した。

 

上記のとおり、取引上有利な立場にある元請業者が、下請け業者を経済的に不当に圧迫するような取引を強制することが禁止されています。

この禁止事項は、当初の契約締結のときだけでなく、工事の変更や追加があった場合も適用されます。

 

下請代金の不適切な支払方法

次のような支払方法は法律上望ましくないとされています。

    • 下請代金の支払いを全額手形払いで行う。
    • 労務費相当分に満たない額のみ現金で支払い、残りを手形で支払う。

上記は違法と言う訳ではありません。

ただし、手形による支払いはなるべく避けましょうということです。

手形による支払いの場合、下請け業者に、すぐに現金化できない、現金化するためにコストがかかるというリスクがあるためです。

どうしても手形払いにするのであれば、下請け業者に不利にならないように十分協議したうえで下請け代金を決めなければなりません。

このとき、手形を現金化するために必要なコストや手形サイトが長すぎないように考慮しなければなりません。

手形サイトについては、60日以内にするよう努めることが必要です。

 

赤伝処理

次のような赤伝処理は、違法となる恐れがあります。

    • 元請業者が、下請け業者と合意なしに、一方的に提供、貸与した安全衛生保護苦闘の費用や下請け工事の施工に伴い副次的に発した廃棄物の処理費用、下請け代金を下請け業者の口座へ振り込むときの手数料等を下請け業者に負担させ、したうぇ代金から差し引いた。
    • 元請業者が、廃棄物の発生がない下請け工事の下請け業者から、廃棄物処理費用の名目で、下請け代金から差し引いた。
    • 元請業者が、工事のために自ら確保した駐車場や宿舎を下請け業者に使用させる場合に、その使用料として実際に係る費用より過大な金額を差し引いた。
    • 元請業者が、責任の所在や費用負担をどちらがするかを明確にしないまま、やり直し工事を別の業者に行わせ、その費用を一歩医的に下請け代金から減額することにより下請業者に負担させた。

 

上記のような場合h愛豊の恐れがありますが、赤伝処理自体が違法と言う訳ではありません。

元請業者は赤伝処理を行う場合には、一方的に行うのではなく、その内容や差し引き金額の根拠について、下請け業者とよく話し合い、合意しておく必要があります。

そのうえで、元請業者は、赤伝処理の内容を見積書や契約書に明示するようにしなければなりません。

また、たとえ元請業者と下請業者との合意があったとしても、下請け業者の費用負担が過剰なものとならないように配慮が必要です。

 

工期変更に伴う費用の増加

次のような場合は、違法となる恐れがありますので注意が必要です。

    • 下請業者に責任がないにもかかわらず、工事の遅れを取り戻すため、下請け業者に工期を短縮させ、これに伴い発生した費用の増加を、協議なしに下請け業者に負担させた。
    • 下請業者に責任がないにもかかわらず、完成期日に合わない恐れがあった場合に、何ら協議することなく、他の下請け業者と契約を交わし、又は、元請業者自身で労働者を手配し、工事を行い、その費用を一方的に下請業者に負担させた。
    • 元請業者の都合により、下請け工事が一時中断され工期を延長した場合に、これに伴って発生した増加費用を一方的に下請業者に負担させた。
    • 元請業者の都合により、元請業者が発注者と締結した工期をそのまま下請業者との契約に適用させ、これに伴って発生した増加費用を尉峰的に下請業者に負担させた。

 

元請業者は、適切な工程管理により工期に変更が生じないようにするべきではありますが、様々な要因により、やむを得ず変更しなければならないこともあります。

工期の変更がある場合は、元請、下請け間で十分に教示したうえで、変更契約を締結しなければなりません。

 

やり直し工事の依頼

元請業者がやり直し工事を下請け業者に依頼するとき、次の場合に該当すれば法律違反となる恐れがあります。

    • 元請業者が、元請、下請けのどちらにやり直しとなった責任があるか、どちらが費用の負担をするかを明確にしないまま、下請け業者にやり直し工事を行わせ、その費用を一方的に下請け業者に負担させた。

本来、元請業者は、工事のやり直しなど発生しないように努めるのは当然のことです。

しかしながら、やむを得ずやり直し工事を下請け業者に依頼しなければならない場合は、どちらの責任で、どちらの費用負担でやり直しを行うのか、十分な協議をしたうえで、契約変更をを行わなければなりません。

契約を締結することなくやり直し工事を下請け業者に行わせることは違法になります。

 

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