この記事では建設業の許可を取得した後に守らなければいけないこと、行わなければならない義務を解説しています。

(記事作成:令和4年4月)

建設業許可を取得すると、許可業者として、一般建設業の場合は、500万円以上の工事を請け負うことができるようになり、社会的な信頼も上がります。

とはいえ、建設業許可をとればとりっぱなしでいい、ということではなく、許可業者としての義務が生じます。

たとえば、建設業許可の有効期間は5年間で、許可の更新申請をしなければ許可業者として継続することはできません。

また、建設業許可業者として、看板を作成し、設置しなければなりません。

以下に、許可取得後の義務を具体的に解説していきます。

 

許可を取得したらすぐに、標識(看板)の設置

建設業の許可を受けたら、営業所および建設う工事の現場ごとに標識を設置しなければなりません。

ただし工事現場に設置するのは、発注者から直接請け負った業者、すなわち元請業者に限ります。

営業所に設置する標識は次の事項を記載しなければなりません。

    1. 商号又は名称
    2. 代表者の氏名
    3. 一般建設業か特定建設業か
    4. 許可を受けた建設業の種類
    5. 許可番号
    6. 許可年月日

サイズは、縦35cm以上、横45cm以上で、例として次のようなものです。

※「許可を受けた建設業」及び「この店舗で営業している建設業」の欄は、「土木工事業」とか「とび・土工工事業」等の建設業の種類を記載します。

※許可年月日は、新規で許可を取得したときではなく、最新の更新したときの許可年月日を記載します。

 

建設工事の現場に設置する標識には次の事項を記載しなければなりません。

    1. 商号又は名称
    2. 代表者の氏名
    3. 主任技術者又は監理技術者の氏名、専任の有無、資格名、資格者交付番号
    4. 一般建設業又は特定建設業の別
    5. 許可を受けた建設業
    6. 許可番号
    7. 許可年月日

サイズは縦25cm以上、横35cm以上で、例としては次のようなものです。

※「主任技術者」の欄は、特定建設業の場合(請負金額4000万円以上)は、監理技術者について記載します。

※「許可番号」の欄の「国土交通大臣・知事」については、不要なものを消します。

 

5年ごとの建設業更新許可申請

建設業許可の有効期間は、5年間です。

引き続き許可業者として建設業を行う場合は、有効期間の満了する30日前までに更新の申請を行わなければなりません。

更新申請に必要な書類は、新規の許可申請のときとほぼ同じです。

ただし、更新申請までに届出等の内容と変更がない部分については省略できる書類もあります。

また、後述の決算変更届や必要な変更届が提出されていないと、更新申請を受け付けてもらえませんので、必要な変更届は必ず提出しておかなければなりません。

 

更新許可申請に必要な書類は次のとおりです。

閲覧書類、非閲覧書類の順番に下表の綴込順にしたがってクリップ等でとめます。(広島県の場合)

 

  • 閲覧書類
綴込順 書類名  
建設業許可申請書  
役員等の一覧表 法人の場合のみ
営業所一覧表  
専任技術者一覧表  
工事経歴書 決算変更届から修正がなければ省略可
直前3年の各事業年度における工事施工金額 決算変更届から修正がなければ省略可
使用人数 全開の申請・届け出から変更なければ省略可
誓約書  
健康保険等の加入状況  
10 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表  
11 財務諸表 決算変更届から修正がなければ省略可
12 営業の沿革  
13 所属建設業団体 変更ない場合は省略可
14 主要取引先金融機関名 変更ない場合は省略可
15 定款 変更ない場合は省略可

 

  • 非閲覧書類
綴込順 書類名  
バーコード貼り付け欄  
申立書 更新しない業種がある場合
営業所建物の所有権又は使用権の確認資料 必要な場合
営業所所在地略図  
営業所写真  
登記されていないことの証明書 役員等全員
身分証明書 役員等全員
常勤役員等(経営業務の管理責任者)証明書  
常勤役員等(経営業務の管理責任者)の略歴書  
10 常勤役員等(経営業務の管理責任者)の常勤性確認資料  
11 常勤役員等(経営業務の管理責任者)の現住所確認資料  
12 健康保険等の加入状況確認資料  
13 専任技術者の専任性確認資料  
14 専任技術者の現住所確認資料  
15 専任技術者の実務経験証明書 変更ない場合省略可
16 専任技術者の免状等の写し 変更ない場合省略可
17 建設業法施行令第3条に規定する使用人の常勤性確認資料 該当者がいる場合
18 建設業法施行令第3条に規定する使用人の現住所確認資料 該当者がいる場合
19 建設業法施行令第3条に規定する使用人の権限が確認できる資料 該当者がいる場合
20 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書  
21 建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所、生年月日等に関する調書 該当者がいる場合
22 株主(出資者)調書 法人の場合のみ
23 納税証明書  
24 登記事項証明書 法人の場合のみ

 

上記の書類の作成方法等は、新規申請のときとほぼ同じです。

それぞれの書類の作成方法については、次の記事をご確認ください。

 

毎年の決算変更届

建設業の許可業者になると、毎年決算後に、決算変更届を提出しなければなりません。

提出期限は、決算後4か月以内です。

決算後2か月で税務申告が終わり、その後決算変更届に取り掛かることになります。

 

決算変更届に関する詳細は次の記事をご確認ください。

 

変更事項に応じて変更届の提出

建設業の許可を取得した後で、次の事項を変更した場合は、変更届を提出しなければなりません。

  • 商号・名称
  • 営業所に関する以下の事項
    • 従たる営業所名称
    • 所在地
    • 従たる営業所の新設
    • 従たる営業所の廃止
    • 業種追加
    • 業種廃止
  • 資本金額の変更
  • 役員等に関する以下の事項
    • 就任
    • 辞任
    • 代表者の変更
  • 個人事業主、役員等の氏名の改姓や改名
  • 建設業法施行令第3条に規定する使用人の新任、辞任
  • 常勤役員等(経営業務の管理責任者)の変更
  • 常勤役員等を直接に補佐する者の変更
  • 健康保険等の加入状況の変更
  • 専任技術者の変更・追加、削除

次の記事でも変更届に関して解説しているので参考にどうぞ。

 

公共事業への入札参加を希望する場合、毎年の経営事項審査の申請

公共工事への入札参加を希望する場合には、建設業の許可を取得するだけでなく、毎年、経営事項審査を受けなければなりません。

経営事項審査の時期は、決算変更届の頃となります。

必要な手続きは、次の様になります。

    1. 経営状況分析
    2. 決算変更届
    3. 経営規模等評価および総合評定値申請

1の経営状況分析と2の決算変更届は、どちらが後先でも構いませんが、経営状況分析を先に行う方がいいでしょう。

 

最終的に総合評定値を取得することが目的ですが、その総合評定値には有効期限があります。

総合評定値の有効期限は、審査基準日(=決算備)から1年7か月です。

決算変更届や経営状況分析は、決算から早くて2か月後、3の経営規模等評価及び総合評定値申請は、申請から約2か月かかるので、毎年毎年あわただしくなると思います。

 

経営事項審査については次の記事にもまとめてあります。

 

一部でも廃業した場合は、廃業届が必要

建設業の許可を受けていて、その全部または一部でも廃業した場合は、廃業届を出さなければなりません。

建設業は29業種で許可を取得できます。

複数の業種で許可を取得している場合で、そのうちの一つでも廃業する場合は、廃業届が必要です。

当然、全部を廃業する場合も廃業届の提出が必要です。

 

また、個人事業で建設業の許可を取得している場合で、法人成したときは、個人の許可の廃業届を提出し、法人として新たに許可を申請する必要があります。

 

 

当事務所では、各種変更届の手続きの代理を行っております。

届出が必要かどうか、どのような書類を準備すればよいかなど、お気軽にお問い合わせください。

 

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